ビタミン同様、微量ながらも体の健康維持に欠かせない栄養素で、
必須ミネラルとして16種類が確定しています。
生体微量元素の専門家が「たぶん必須」と考えている元素は43種類も!
人体の95%は酸素、炭素、水素、窒素の4元素で構成され、
残りの5%にあたる元素が一般に「ミネラル」と呼ばれています。
体の構成成分や生理作用の調節に欠かせない栄養素ですが、
カルシウムやマグネシウムなどの不足が明らかになっています。
→国民健康・栄養調査
【代表的なミネラルと、それを豊富に含む食材】
カルシウム
不足すると:骨粗しょう症、副甲状腺肥大、腸内細菌叢の異常、神経過敏、筋肉の痙攣、肩こり、腰痛など
一日の摂取基準:成人の推奨量は600~800mg
多く含む食品(1食あたりの目安量とカルシウム含有量):
牛乳1カップ(210g) | 231mg |
プロセスチーズ20g | 126mg |
ヨーグルト105g | 126mg |
干しえび8g | 568mg |
ワカサギ2尾50g | 225mg |
いわし煮干し10g | 220mg |
ひじき8g | 112mg |
水菜150g | 315mg |
菜の花100g | 160mg |
モロヘイヤ50g | 130mg |
小松菜100g | 170mg |
チンゲン菜100g | 100mg |
木綿豆腐100g | 120mg |
生揚げ100g | 240mg |
ごま3g | 36mg |
マグネシウム
不足すると:動悸、不整脈、神経過敏、抑うつ症、精神・神経障害など
一日の摂取基準:成人の推奨量は260~370mg
多く含む食品(1食あたりの目安量とマグネシウム含有量):
大豆30g | 66mg |
油揚げ40g | 52mg |
納豆50g | 50mg |
アーモンド30g | 93mg |
カシューナッツ30g | 72mg |
いり落花生30g | 60mg |
干しひじき10g | 62mg |
乾燥わかめ5g | 55mg |
玄米ごはん120g | 59mg |
干しえび10g | 52mg |
素干しながこんぶ10g | 70mg |
そば(ゆで)200g | 54mg |
バナナ120g | 38mg |
ほうれん草(葉ゆで)80g | 32mg |
小麦はいが8g | 25mg |
鉄
不足すると:鉄欠乏性貧血、疲れやすい、頭痛、動悸、食欲不振。爪の変形など
一日の摂取基準:成人の推奨量は6~22mg
多く含む食品(1食あたりの目安量と鉄含有量):
豚レバー50g | 6.5mg |
鶏レバー40g | 3.6mg |
卵黄20g | 1.2mg |
あさりむき身50g | 1.9mg |
カツオ80g | 1.5mg |
焼きめざし40g | 1.7mg |
木綿豆腐100g | 0.9mg |
がんもどき80g | 2.9mg |
納豆50g | 1.7mg |
生揚げ120g | 3.1mg |
小松菜80g | 1.9mg |
ほうれん草100g | 1.8mg |
ひじき8g | 4.4mg |
あずき20g | 1.1mg |
亜鉛
不足すると:成長障害、貧血、味覚異常、皮膚炎、うつ状態、性機能低下、免疫機能低下など
一日の摂取基準:成人の推奨量は9~12mg
多く含む食品(1食あたりの目安量と亜鉛含有量):
カキ100g | 13.2mg |
タラバガニ180g | 2.9mg |
うなぎ蒲焼100g | 2.7mg |
いわし煮干し50g | 3.6mg |
牛肉80g | 1.8~5.1mg |
豚レバー50g | 3.5mg |
鶏もも肉80g | 1.6mg |
小麦はいが10g | 1.6mg |
たけのこ(ゆで)120g | 1.4mg |
納豆50g | 1.0mg |
アーモンド10g | 0.4mg |
きな粉10g | 0.4mg |
ごま3g | 0.2mg |
銅
不足すると:貧血、毛髪異常、成長障害、白血球減少、骨の異常、毛と皮膚の脱色など
一日の摂取基準:成人の推奨量は0.7~1.3mg
多く含む食品(1食あたりの目安量と銅含有量):
シャコ(ゆで)60g | 2.08mg |
イイダコ40g | 1.18mg |
カキ80g | 0.71mg |
干しえび10g | 0.52mg |
ズワイガニ50g | 0.28mg |
カシューナッツ10g | 0.19mg |
枝豆50g | 0.18mg |
木綿豆腐100g | 0.15mg |
あずき20g | 0.13mg |
干ししいたけ5g | 0.03mg |
カリウム
不足すると:脱力感、食欲不振など
一日の摂取基準:成人の目標量は2700~3000mg
多く含む食品(1食あたりの目安量とカリウム含有量):
さといも80g | 512mg |
さつまいも100g | 470mg |
やまといも80g | 472mg |
大豆30g | 570mg |
いんげん豆30g | 450mg |
枝豆50g | 245mg |
刻みこんぶ10g | 820mg |
おぼろこんぶ10g | 480mg |
干しひじき10g | 440mg |
ほうれん草80g | 552mg |
バナナ120g | 432mg |
たけのこ(生)80g | 416mg |
グレープフルーツジュース200g | 360mg |
アボカド70g | 504mg |
鶏もも肉80g | 320mg |
カツオ100g | 430mg |
参考資料
不足すると:栄養の基本がわかる図解辞典(成美堂出版)、新基礎栄養学(医歯薬出版)ほか
一日の摂取基準:「日本人の食事摂取基準」(2010年版)を参照
多く含む食品:五訂増補日本食品標準成分表より
※個々の食品についてミネラル量を知りたいときは、食品成分データベースで検索できます。
【ミネラルの摂取比率も大切】
カルシウム:リン
食事から摂取するカルシウムとリンのバランスは1:1が理想とされています。
リンを摂りすぎると、血液中のリン濃度が上昇し、骨から血液中にカルシウムが放出されるため、骨のカルシウム量を減少させます。
食品100g中の、カルシウム:リンは、
小松菜 → 170:45
水菜 → 210:64
わかめ → 100:36
木綿豆腐→ 120:110
牛乳 → 110:93
煮干し → 2200:1500
うどん → 18:49
白ご飯 → 3:34
牛肉もも→ 4:180
豚肉かた→ 4:200
(単位:mg)
肉ばかり偏って食べると、カルシウム不足になります。
カルシウム:マグネシウム
摂取量の比が、カルシウム2に対してマグネシウム1未満は好ましくありません。
マグネシウムの腸管からの吸収は、過剰のカルシウム、リンによって阻害されます。
カルシウム不足だからといって、サプリメントなどで過剰にカルシウムを摂ると、マグネシウム不足になる恐れがありそうです。食事からバランスよくマグネシウムを摂りたいですね。
カリウム:ナトリウム
カリウムは普通の食事で欠乏することはないのですが、摂り過ぎが指摘されているナトリウムの排出を促してくれるので、豊富に摂りたいミネラルです。
高血圧予防のため、カリウム1に対してナトリウム2以下の摂取比率になるよう、心がけましょう。
【現代人の食生活でミネラルは足りているの?】
コンビニ弁当、持ち帰り弁当、デパ地下総菜、冷凍食品、回転寿司、牛丼など、
人気食品のミネラル調査をした本があります。
「食事でかかる新型栄養失調(食品と暮らしの安全基金・三五館)」では、
いろいろな食事の、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・銅を実測。
食事摂取基準と比べ、ミネラルがまったく足りていない事実が示されています。
国の基準が正しいとすると、ミネラル不足で病気になっている人が、たくさんいそうです。
家庭で料理を手作りすれば、このようなことはないのでしょうか・・・?
【なぜミネラルが減っているの?】
「食べなきゃ危険!食卓はミネラル不足(食品と暮らしの安全基金・三五館)」
によると、 主な理由は3つあるようです。
1.水溶性成分が溶出した「水煮食材」を原料としている食品が多い。
2.原材料の大半が「精製」されて、ミネラルを抜かれている。
3.食品添加物「リン酸塩」が多用され、ミネラルの吸収を阻害している。
ということは、こういう食材を使っていたら、家庭料理でも安心できないということですね。
【食材のミネラルを抜かずに食べよう】
よく洗う、よくゆでる、煮こぼす、といった調理法は、水溶性ミネラルを捨てる調理法です。
特に、カリウムやマグネシウムは「ゆでる」ことで損失しやすいので注意しましょう。
蒸し料理、無水鍋など、ゆでこぼさない調理法がオススメです。
しかし、「ゆでこぼして放射能を減らそう」という調理法をすすめる雑誌、テレビ番組が多いのも事実です。
これでは放射能を避けることができても、ミネラル不足で病気になりそうです。
ゆでこぼさないと安心できないような食材は避け、安心できる食材を購入してミネラルを抜かずに食べることが大切です。
自然食品や有機野菜の通販、一部の生協などでは、高精度に放射能自主検査しているところも多いので、そういう食材を利用しましょう。
「ヘルシーな加工食品はかなりヤバい(青志社)」によると、「ビタミン、鉄、亜鉛不足によって、DNAが切断されたり酸化損傷したりするなど、放射線を浴びせられたのと似たような症状を起こす(カリフォルニア大学バークレー校
生化学者 ブルース・エームス)」ということです。
放射能を避けることと同じくらい、ミネラル不足にならないことを心がけてください。
【煮干し粉末をかけるだけでもいい】
手間をかけずに、お金をかけずに、食事をミネラル豊富にしたい・・・
ミネラルサプリメントは過剰摂取が心配だし、相互作用で他のミネラル吸収が阻害される恐れが・・・
ミネラルが抜けた外食を、簡単にミネラル豊富にするには・・・
そんな人にオススメなのが、スーパー等で売られている「煮干し」や「煮干し粉末」です。
外食時は煮干し粉末を小さな容器に入れて持ち歩き、振りかけたり、ソースに混ぜて食べれば、手軽にミネラル補給できます。
放射能が気になる方は、長崎産や瀬戸内海産の煮干しを選んでください。
魚が苦手な方は、「韓国のり」「すりごま」「ナッツ類」「種実類」「大豆製品」などもオススメ。
いわし煮干し粉末、焼あご(飛魚)粉末、昆布粉末を混合した、便利な商品も市販されています。
さらにすりごまを混ぜたものもありますね。
家庭で料理に使ったり、外食時に振りかけたり、ミネラル補給に役立ちそうです。
【ミネラルを奪うリン酸塩とは?】
こちらにまとめました。